原産地呼称制度という言葉を聞いたことがありますか?
現在世界中でワインづくりが行われていますが、多くのワインがこの制度によって守られています。
どういったものかというと、ワイン産地の地理的環境や風土の違いによってあらわれる、それぞれの異った特徴を指し示すために、ワインラベルにその地域を明記し、ブドウの品種や産地、栽培関わる条件、製法を法律で規定して、これを国が保証するというものです。
そして、この原産地呼称管理法(DOC=Denominação de Origem Controlada)を世界でも一番最初に整備したのがポルトガルです。ポルトガルがこの制度をいち早く取り入れたのは、当時人気の高かったワインを偽造から守り、また、世界で最も多様なブドウの固有品種という貴重な国の財産を守りたいという目的があったからでした。
世界でいち早く原産地呼称制度を取り入れたポルトガル
ポルトガルが西洋の大国であった16、17、18世紀において、ポルトガルの最優先事項は各国とパートナーシップを築き、貿易の規模を拡大することでした。なぜなら航海によって世界中の情報を集めていたポルトガルは、航海の事業に莫大な投資を行っていたため、経済を成長させる必要に迫られていたからです。
その当時のイギリスはポルトガルにとってとても大きい存在となっていました。ポルトガルが大航海時代に各国で得た富の大部分をイギリスは自国に輸入し消費していたため、ポルトガルにとってなくてはならない経済的パートナーとなっていたのです。
そして1703年に、イギリス・ポルトガル間でワイン、毛織物の輸出入に関する通商条約である、メシュエン条約が両国間で調印されることになりました。この合意により、ポルトガルはイギリス産の生地の購入において優先権を得ることができるようになり、イギリスはポルトガルワインの購入において他の国よりも有利な立場となりました。
当時のイギリスが最も望んでいたワインは、酒精強化ワインである、ポートワインでした。
この条約の後押しを受け、多くのワインが国内で製造販売される中で、ワインを偽造し販売するものもあらわれました。
1756年9月10日、外交官であったマルケス・デ・ポンバルは、自国のワインを保護することを目的として、原産地指定DOCを確立するという書簡に署名し、ポルト市から100kmほど離れたドウロ川の地域で生産されたポートワインの原産地に境界線を定めました。このようにして世界初のDOCドウロが誕生したのです。
世界における産地を起源とする呼称制度
ポルトガルがいち早くモデルを作り上げたことによって、多くの国や地域が後を追って制度を策定し原産地システムを導入しました。
EC(のちのEU)に加盟している国々には、規則を定める際に他の国の制度を参考にする習慣があります。ヨーロッパの各国は、ポルトガルとイタリアのDOCと同じような基準を参考にして制度を作っているので、原産地呼称制度においても、各国の制度には多くの共通点が見られます。
DOC証明書を取得し、製品の品質を保証したい生産者は、境界領域内で生産していることに加えて、すべての要件を満たした製造のプロセスに関する証明書も提出する必要があります。DOCには醸造方法、ブドウの品種の選定、植え方、収穫時期、1ヘクタールあたりの収穫量、土壌の種類、ブドウの味わいなどを提出する必要があり、このような情報が一元的に管理されることで、ヨーロッパの国々のワインの品質は保証されているのです。
世界の基準はどうなっている?
ポルトガルが世界で初めて原産地呼称管理制度を設け、“DOC”という名前を使い始めたにもかかわらず、ほとんどのワイン生産国は独自の呼称を使っています
フランスでは、1930年から“アペラシオン・ドリジヌ・コントローレ”(AOC)と呼ばれる、詳細で複雑な地域区分とワイン管理のシステムで、膨大な量の情報を管理しています。
その複雑さを整理するために、大枠のAOCと、より範囲を絞ったAOCがあり、例えば、“ブルゴーニュ”などの限定的な区分にもAOCが用いられています。
またイタリアには、DOCGと呼ばれる原産地呼称があります。これは、“デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ・エ・ガランティータ”を意味し、DOCをさらに細分化し、厳密で正確なグレードを表記するシステムが確立されています。
これらによって管理される情報量はとても膨大で、ワインに興味のある人にとっては、広範で細かいワインの資料ともいえます。
では、実際にいくつかの主要な生産国の原産地呼称を見てみましょう。
世界の原産地呼称制度の呼び名
フランス – Appellation d’Origine Contrôlée (AOC)
イタリア– Denominazione di Origine Controllata (DOC)
スペイン – Denominación de Origen (DO)
チリ– Denominación de Origen (DO)
アルゼンチン – Denominación de Origen (DO)
ドイツ – Qualitätswein Bestimmter Anbaugebiete (QBA)
アメリカ – American Viticultural Area (AVA)
南アフリカ – Wine of Origin (WO)
イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、アメリカなどの国には、数十または数百ものDOCがあることも特筆すべき点だといえます。
原産地呼称によって守られる味と品質
ワインは知れば知るほど奥深く、一本のワインボトルにはさまざまな物語が詰められています。その物語の目次となるのがそれぞれのワインラベルに記された情報なのではないでしょうか。
特に、固有の品種が多いポルトガルにおいて、この原産地呼称制度を使ってブドウ品種の管理を行うことによって、ワイン愛飲家にとっても、生産者にとっても品質についての情報が共有され、安心して飲めるワインが造られることになるのです。
ポルトガルワインの魅力はなんといっても、その土地ならではのブドウを使った、オリジナリティ溢れる味わいです。
1ヘクタールあたりのブドウの固有品種が世界最多といわれるポルトガル。多品種をブレンドした味わい深いワインが数多く生産されています。
もっと詳しくポルトガルワインについて知りたい方は、こちらもご覧になってください。
そんな特徴を持つポルトガルワイン。以下ではAraiBrandオススメのワインをご紹介します。
ポルトガルワイン【赤】のおすすめ商品
口の中に広がるブドウ本来の渋みや酸味に、どこか懐かしさや温かみを感じられるのがポルトガルの赤ワインの特徴です。ここではおすすめのポルトガルの赤ワインを紹介していきます。
ドナ・エルメリンダ
ジャパンワインチャレンジ2019銀賞を受賞したワインです。色調は濃く深い赤色で、マデイラの香りや高級な完熟した赤肉系果実の香りが漂う質のまろやかなタンニンが感じられます。心地よい味のハーモニーが長く口に残る赤ワインです。
原産地:ポルトガル/セトゥーバル地方
品種:カステラォン、カベルネ・ソーヴィニョン、トウリガ・ナショナル
味わい:ミディアムボディ
ポルトガルワイン【白】のおすすめ商品
ポルトガルの白ワイン用ブドウ品種はほぼ土着品種で、その種類も多岐にわたります。ポルトガルにはイワシなどの魚を塩焼きで食べたり、フリットにして食べる文化があります。日本と共通した食文化があるという点でも、ポルトガルの白ワインは、日本の食にも合わせやすいワインです。その中でも白ワインのオススメをご紹介します。
ドナ・エルメリンダ【白】
アジア最大規模のワインコンテスト「ジャパンワインチャレンジ」にて、2019年金賞を受賞した白ワインです。
色調は緑がかった麦の穂色。濃厚なトロピカルフルーツとはちみつの香りが漂います。酸味と甘み、アルコールと果実感の複雑な味わいで、余韻は長く口の中に残ります。
原産地:ポルトガル/セトゥーバル地方
品種:シャルドネ、アリント、アンタオン・ヴァス、フェルナオン・ピレス
味わい:辛口
ヴィーニョヴェルデのおすすめ商品
爽やかでキレのある酸とフルーティな果実味に溢れ、軽やかな辛口のヴィーニョヴェルデ。アルコール度数が低めで飲みやすく、ワイン初心者でも親しみやすい味わいも魅力です。飲み疲れることなくカジュアルに楽しめるグリーンワインは、国内でも人気がでてきています。そんなヴィーニョヴェルデのおすすめをご紹介します。
フガス
フルーティで軽快、滑らかな口当たり。柑橘系の色調を持ち、モダンで爽やかなワインです。8~10℃にキリッと冷やしたヴィーニョ・ヴェルデ「フガス」は、白身魚の料理、鶏肉のような淡白な肉料理と相性が抜群です。
原産地:ポルトガル/ヴィーニョヴェルデ地方
品種:ロウレイロ、トラジャドゥラ
味わい:辛口
ポルトガルワインを通販で1本からご購入頂けます
ワインは専門店でお買いになっている方も多いかと思います。しかし、現在ではお好きなお店のネット通販でワインを購入できるようになってきています。国内でも、ワインを楽しむ人が増えてきて、そのニーズの高まりとともに、気軽にネット通販で購入するできるように環境が整ってきています。
しかし、ワインなどの飲料をネットで購入する際の問題は、インポーターがレストランなどに直接販売するために、個人で買う際もケースで買わなければならないということが起こりうるということです。
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