近年ワインを日常的に楽しむ方も増えてきています。コンビニやスーパーにもワインコーナーがあったり、おうち時間が増えて、晩酌のお酒を普段とは違うものに変えてみたり、またオンライン飲み会では、お店の飲み会と違って、選ぶアルコール飲料の幅が以前よりも広がったため、ワインを手に取る人も増えているようです。
以前から、ワインの存在は知っていたけれども、いざワインを選ぶときになると、何を基準に選べばよいのかわからないものです。
せっかく飲むのであれば、「美味しいワイン」を選びたいと考えるものですが、「失敗したくない」という気持ちが強く、価格が安いものを選んでしまうこともあります。
もともとワインの味が苦手な人であれば仕方がないですが、ポイントを押さえれば、手頃で美味しいワインと巡り合うこともできます。
ということで今回は、無数にあるワインから「飲みやすいワイン」をどのように選べばよいのか。ワインを選ぶ際に“大失敗”しない選び方のコツを見ていきましょう!
飲みやすさで言ったら白ワインが始めやすい
ワインを初めて飲む方ならまず白ワインから飲んでみることをおすすめします。「赤ワインは苦手だけど、白ワインなら飲める」というワインファンも多く、フルーティな味わいの白ワインであれば、普段カクテルなどを飲んでいる方にも、飲みやすいワインです。
また、キレが良い白ワインであれば、後味がすっきりとしていて、刺身や、魚介料理、また、煮物などにも合わせやすく、普段の食事のお供として楽しむことができるので、「ワインを飲むぞ!」と気負わずに、日常の晩酌のお供として飲めるのが特徴です。
白ワインがすっきりしていて飲みやすいのには、その作られる工程に秘密があります。
苦手な人の多い赤ワインの持つ特有の渋みは、ワインを造る際にブドウの皮や種を一緒に発酵させることによるものです。
皮の持つ渋みやえぐみがワインの味の中に含まれるので、赤ワインを苦手と感じる人が多いのです。
その点白ワインは白ブドウの皮や種を予め取り除き発酵させます。いわゆる「ブドウジュース」が白ワインのもととなるのです。
これにより赤ワインのような“渋み”や“えぐみ”がワインの中に含まれず、透明感溢れるブドウのフレッシュでフルーティな味わいを楽しめるのです。
白ワインの「甘口」「辛口」とは?
白ワインの中にも甘口なものと、辛口なものがあります。「白ワイン」と一括りに思われがちですが、白ワインにも生産者が狙って造る味の違いがあります。
その味はもちろん使われるブドウの品種によっても細かく変わりますが、出来上がった白ワインの味には大きく分けて2種類があります。それが「甘口」と「辛口」です。この違いについて見てみましょう。
甘口の白ワイン
甘口と呼ばれるワインは、ブドウの果実が持つ甘味が残っている白ワインにことを主に指します。
ワインがブドウジュースからアルコール分を持つワインに変化するのは、ブドウが持つ糖分が発酵してアルコール分に変わるからです。
この過程の途中で、本来のブドウが持つ糖分が残っている場合、ブドウの甘味を強く感じられる「甘口」となります。
味は、全体的にまろやかで、ブドウのフルーティな余韻がお口に残るものが多いです。
辛口の白ワイン
辛口と言っても、スパイシーな味を感じられるわけではありません。
ブドウが発酵するプロセスで、ブドウの持つ糖分のほとんどがアルコール分に変わり、糖度が低くなった白ワインが「辛口」と呼ばれます。
その味は、キリっとスッキリ飲めるものが多く、食事と合わせる際は、辛口の方が好まれることが多いです。
このような味の違いを購入する際にどのように見極めたら良いのでしょうか?
「甘口」「辛口」といった違いは、ワインによっては、ボトルの裏のラベルに「甘口」「やや甘口」「やや辛口」「辛口」といったようにそのワインの味の特徴を表記しているのものあります。
この表記を参考にして、自分の好みを知ることで、自分にとって飲みやすいワインを選ぶことができます!
スパークリングワインの甘口・辛口の違いは?
白ワインの派生形として、スパークリングワインがあります。
スパークリングワインとは、発泡性のあるワインのことをさし、炭酸の入ったワインはスパークリングワインと呼ばれ、たまにレストランなどで「泡」などと表現されるものがこれにあたります。
スパークリングワインには規定があり炭酸ガスが3気圧以上のワインでなければなりません。
また、1気圧未満の場合は微発泡とよばれ、スパークリングワインには含まれないことになっています。
あとで紹介するヴィーニョヴェルデもこの微発泡に属し、スパークリングワインではないのです。
スパークリングワインは、炭酸を辛いと感じるために甘さを感じにくくなります。
そのため製造工程で糖分を添加する、ドサージュという作業があるほどです。
この工程により、甘さの調節が行われるのです。甘味を詳説することで、味わいにコクや、まろやかさ、ボリューム感を出すことができるのです。
ワインで有名なフランスでは、このスパークリングワインの甘辛度を7段階に分けそれぞれぞれに名称を与えています。
超辛口:糖度0~3g or 3g 以下
(甘辛度表記)
・ブリュット、ナチュール(Brut Nature)
・パ・ドゼ(Pas dose)
・ドサージュ・ゼロ(Dosage zero)
極辛口:糖度6g未満 or 0~6g
(甘辛度表記)
・エクストラ・ブリュット(Extra Brut)
辛口:糖度12g未満 or 12g以下 or 15g以内
(甘辛度表記)
・ブリュット(Brut)
やや辛口:糖度12-17g
(甘辛度表記)
・エクストラ ドライ(Etra dry)
やや甘口:糖度17-32g or 17-35g
(甘辛度表記)
・セック(Sec)
甘口:糖度32-50g or 33-50g
(甘辛度表記)
・ドゥミ・セック(Demi Sec)
極甘口:糖度50g以上
(甘辛度表記)
・ドゥー(Doux)
ドサージュの工程で添加される糖分の量は生産者がどういうワインを造りたいかによって異なりますが、出来上がったスパークリングワインの糖度によって、このように分類されるのです。
ブリュット・ナチュールが一番辛口で、下にいくごとに甘くなり一番甘口がドゥです。
どのスパークリングが飲みやすいというのは、個人の感覚によって変わりますが、世界で流通しているスパークリングワインの多くは、ほどよいコクとキレの感じられる”極辛口のエクストラ・ブリュット”に仕上げられています。
スパークリングワインは、炭酸を感じられるワインのため飲みやすく、食前などに、おつまみが無くても楽しめるワインです。
一般的に白ワインよりも価格が高く設定されているため、「飲みやすい」ワインではありますが、日常的に使うというより、会食の食前酒や、パーティーなど、特別な時に用いられることが多いワインとなっています。
飲みやすさなら断然ヴィーニョヴェルデがおすすめ!!
飲みやすいワインをお探しに方におススメしたいのは、ポルトガルのヴィーニョヴェルデという、白ワインのような微発泡ワインです。
“ヴィーニョヴェルデ”という名前自体聞きなれない名前ですが、このワインは、ポルトガルのヴィーニョヴェルデ地方でしか生産されないワインで、実は今世界中で人気が出てきているワインです。
その理由は以下のものがあります。
・微発泡で飲みやすい
・他のワインよりもアルコール度数が低いため飲みやすい
・価格が他のワインに比べ安価
ということがあげられます。上で、スパークリングワインについて書きましたが、ヴィーニョヴェルデとどう違うか見ていきましょう。
このヴィーニョヴェルデに使われるブドウは、一般的なワインに比べ1~2か月早く収穫されます。完熟する前の若いブドウを使用し、ワインが発酵する過程で発生する気泡をそのまま楽しめる形で製品化されるのがこのヴィーニョヴェルデの最大の特徴と言えます。
この地域はもともと赤ワインの産地でしたが、瓶内二次発酵製法によって造られた、軽い微発泡を帯びた白ワインが人々の心を捉え、白ワインにシフトしていったといわれています。
今では自然発泡のヴィーニョヴェルデも少なくなってきていて、ボトリングする前にガスを添加するようになりました。
そしてアルコール分はは9-12.5%程度に調節され、炭酸のガス圧は0.7気圧前後(スパークリングワインの平均は2.8-3.8)で、アルコールが高いものに限り、バランスを取るためにガス圧が低めに調整されます。
このヴィーニョヴェルデは、ワイン大国ポルトガルでも気軽に楽しまれているワインで、暑い夏場などには、水の代わりに飲まれるほど親しまれています。
それもあり、ヴィーニョヴェルデは非常に安い価格で流通していて、日本においても手軽に楽しめ飲みやすいということで、人気が出てきているワインなのです。
飲みやすい赤ワインとはどういうワイン?
「赤ワインはどうも苦手」とか、「美味しいと感じたことが無い」という人も多いですよね。
事実、赤ワインは上でも述べたように、ブドウの皮や種が製造に使用されるため、“渋み”や“えぐみ”などを感じてしまい、それが「美味しくない」につながっているようにも感じます。
白ワインは「甘口」や「辛口」といったようにワインの性格が表現されますが、赤ワインは「ライトボディ」「ミディアムボディ」「フルボディ」と表現され、いまいちピンときません。
そして、その3種の中で選んだとしても、ブドウの品種や、作られ方によっても味わいは100種100様で、自分が本当に好きと思える味に出会える確率は低いかしれません。
通常赤ワインは食事と合わせて楽しまれることが多く、その食事との相性を楽しむことも多いワインです。
そのために高級レストランには、食事と合うワインをおすすめするソムリエがいるのですが、赤ワインは「自分の好みのワインを探す」というよりは、「その食事を素敵に演出する」という立ち位置で飲まれることが多いです。
「あの食事で飲んだ“あのワイン”は美味しかった」とか、「あのワインは、この食事には合いそうだ」という風に、贔屓の赤ワインを一種類選ぶというよりは、“自分なりのレパートリーを作っておく”。という楽しみ方が良いかもしれません。
そのような楽しみ方をするためにも、どういう赤ワインをセレクトしていけばよいのか、自分好みの赤ワインの見つけ方を見ていきましょう!
赤ワインを知るには「ボディ」を知る
いきなり“ボディ”と言われてもしっくりこない方もいるかもしれませんが、これは味や香りの傾向のことを指します。
ワインの味や香りが複雑なほど「ボディがある」という風に表現されます。また、口に含んだ時に感じるワインの濃厚さや重たさなどのことを指します。この“ボディ”が、赤ワインの大きな特徴を分ける指標になります。
フルボディの赤ワイン
渋み、香り、味が濃厚で、色も濃く、ずっしり重たさを感じるようなワインのことです。ワインの味が凝縮されているような感じがします。合わせる料理も、さっぱり淡泊なものだと、ワインの味の方が強すぎるので、濃厚なソースがかかった料理や、肉料理と合わせるのが一般的です。
ミディアムボディ
ミディアムボディの感じ方は人それぞれですが、フルボディを好む人には、軽めのワインという風に感じますし、軽いワインを好む人にはフルボディのように感じる方もいます。渋み・酸味が程よく“バランスの良い”ワインのことを指します。ワインに慣れてきて、「日常的にワインを楽しみたい」という方は、ミディアムボディのワインを飲む方が多いようです。
ライトボディ
その名のごとく、“ライト(軽い)”なワインです。フルボディと比べると色調も薄く、渋みが少ないワインのことを指します。香りや味わいもさらっとしていて、口当たりがよく、アルコール度数も低いものもあります。ミディアムボディ以上のワインを飲みなれている人からすると、「少し物足りない」と感じることもあります。しかし、気取らずに飲めるので、ワイワイと楽しいお酒の場には向いているワインともいえます。
このように3種類のワインに大別される赤ワインですが、実は、このボディを分類する明確な基準はありません。ワインのボトルに書かれている味の評価は、ワイナリーやメーカーなどが独自の基準でつけているものです。
そのために、この3つの分類を参考にしてワインを選んだのに「ライトボディなのに、ちょっと味が濃すぎて料理に合わせにくい」と感じたり、「フルボディと書かれているのに、少し物足りないな」と感じることもあり得ます。
このようなことが起こりやすいのが赤ワインの特徴でもあります。
ですので、最初はライトボディやミディアムボディのワインから飲み始めると“赤ワインのイメージ”を掴めると思います。いきなりフルボディのワインに手を付けると「渋みが強すぎる」や「美味しくない」と感じることもあるかもしれません。
また、ライトボディの赤ワインは、飲みやすい一方で、ブドウの味を十分に感じられず、せっかく赤ワインを楽しもうとした人が、ワインの美味しさを感じられずに赤ワインの良くないイメージを作ってしまう可能性もあります。そこが赤ワインの難しいところでもあります。
もし、飲みやすい赤ワインを探すのであれば、自分の判断ではなく、人のおススメを参考にすると良いと思います。
ワインに興味がある人なら「**料理に食べたときに飲んだ“あのワイン”が美味しかった」など経験的に美味しいと感じているワインがあるはずです。もし、近くにワインを飲む方がいたら是非聞いてみましょう!飲みやすいワインにたどり着く近道です。
飲みやすいワインのオススメ
最近ではコンビニでもワインが売られていて、ワインを身近に感じるようになってきました。しかし、いまだにワインを“苦手”と感じる人が多いのも事実です。
そういった人に理由を聞いてみると「渋い」「酸味が強い」「苦い」など、際立ったネガティブなイメージをお持ちの方が多いです。
世界にこれだけ多くのワイン好きがいるわけですから、すべてのワインがそのようなワインではありません。
“手頃”で“飲みやすい”ワインはたくさん存在します。ではなぜそのような感想に至ってしまうのでしょうか。
多くの場合、ワインをあまり飲んだことのない人が、安くて品質の良くないワインを手にしてしまった時にこのようなことが起こります。
今身近で手に入るワインには、コンビニやスーパーで売られている500円もしないワインなどもあります。
これらの多くは、しっかりした管理のもとで造られていないものもあります。
もちろん中には飲みやすいものもありますが、多くのものは”ワイン好きを納得させる味”ではありません。
つまり、低品質のワインであることもあるのです。
ワインを知らない人がそのような低品質ワインを飲んで“美味しい!”と思うことは難しいはずです。
おいしさを追及しているワインが、その価格で売られること自体考えにくいからです。
しかし、あと500円足して、1000円辺りのワインになってくると格段に質が上がります。
ワイン好きの人が納得できるワインが、1000円ほどかければ無数に存在するのです。
是非、美味しいワインと巡り合いたい、飲みやすいワインと出会いたいと思うなら、1000円くらいのワインから始めてみてはいかがでしょうか。
飲みやすいワインは好みの違い
以上飲みやすいワインを選ぶ基準などを見てきましたが、ワインと一言で言ってもその種類は様々です。
そして、その日の気分や体調によっても飲みやすいワインは変わってくるはずです。
しかし、一回飲んだワインを、基準に当てはめてみて、どのようなワインだったのかということを自分で評価できるようになることによって、次回ワインを選ぶ時には、違うテイストのワインを選べるようになります。
ワイン選びに“成功”や“失敗”はありません。「こういうワインもある」という風に、色んなワインがあることを認めて、その味を楽しむことよってワインのことがどんどん好きになっていきます。
是非、飲みやすさを追求しながら、「美味しいワイン」と出会っていってくださいね!
ここからは低価格で高品質と言われるポルトガルワインを紹介します。白・ヴィーニョヴェルデ・赤の一本ずつを紹介していきたいと思いますので、ご覧ください。
ドナ・エルメリンダ【白】
世界最大級のワイン・コンペティション「Challenge international du vin」、2020年ゴールド受賞。
日本の女性審査員が選ぶアジア最大のコンペティション「第8回サクラアワード 2021」ゴールド受賞
アジア最大規模のワインコンテスト「ジャパンワインチャレンジ」にて、2019年金賞を受賞した実力派の白ワイン。
色調は緑がかった麦の穂色。濃厚なトロピカルフルーツとはちみつの香りが漂います。酸味と甘み、アルコールと果実感の複雑な味わい。その余韻は長く口の中に残ります。
原産地:ポルトガル/セトゥーバル地方
品種:シャルドネ、アリント、アンタオン・ヴァス、フェルナオン・ピレス
フガス
日本の女性審査員が選ぶアジア最大のコンペティション「第8回サクラアワード 2021」ゴールド受賞!
トロピカルフルーツや柑橘系を思わせるフルーティーな香り。軽快で爽やかな飲み口で、余韻はエレガントで味わい深い風情が漂います。8~10℃にキリッと冷やしたヴィーニョ・ヴェルデ「フガス」は、白身魚の料理、鶏肉のような淡白な肉料理と相性が抜群です。
原産地:ポルトガル/ヴィーニョヴェルデ地方
品種:ロウレイロ、トラジャドゥラ
ドナ・エルメリンダ【赤】
色調は濃く深い赤色。樽の香りや、完熟した赤肉系果実の上品な香りが漂います。高品質のまろやかなタンニン。心地よい味のハーモニーが長く口に残ります。
原産地:ポルトガル/セトゥーバル地方
品種:カステラォン、カベルネ・ソーヴィニョン、トウリガ・ナショナル
ポルトガルワインについてもっと知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
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